一分金と一朱銀のカフス
2024.06.06
一分金。
一朱銀。
江戸時代に実際に使用されていた金貨と銀貨を使いカフリンクスを製作しました。その時の製作過程です。
一分金四枚と小判一枚が等価だったようです。
小判一枚で「一両」。
江戸期の年代で変化したようですが、現在の価値で一両10~15万円分に相当したとか。
さらに大きい大判は小判の約10倍の価値だったそうで、
よく時代劇に登場する悪徳商人の越後屋が悪徳役人に高級料亭で賂を渡すシーン。
「グフフ…おぬしもワルよのう…」って、結構な高さがある大判包みですよねアレ!?ヤバ!
カフスの枠になる銀材もあらかじめ鎚で叩き模様をつけておきます。
カフスの正面に来るフェイスと下側の金具がそれぞれ一分金と一朱銀で対になるようにします。
各金貨、両面に柄が入っているのでどちらを表にするかも打ち合わせで話し合いました。
一分金、一朱銀というものはビミョーにイビツな形をしており正長方形ではありません。各々のイビツな形に合わせて枠を作っていきます。
完成した枠の縁には後で金貨をセッティングするため、地にスリットを入れておきます。
各金貨に合わせてるのでピッタリと嵌ります。
さらにここから縁を魚々子タガネを使って内側に肉を倒していきます。
こちらの一分金も同様に縁を留めていきます。
で、完成したのがこちらです。
四隅に一回り大きな魚々子を打ち、二段にして留めています。
やはり古銭独特のアンティーク調があるのでそれに合うよう新規に作るカフス枠もアンティーク仕上げにしています。
ただ実際に使い込んで徐々に馴染んでいく経年変化に勝るものはありません。
使用すればするほど味が出るようなカフスだと思います。
ITALU-YA